2008-01-01から1年間の記事一覧

「 花冷えの夜に君を想う 」

穏やかな日差しのなかで透けそうな花びらをたおやかに開いている桜 染井吉野の儚い色合いにこの春の寂しさを募らせる花冷えの夜にますます募る想いは音をたてて吹く風に凍ってしまう 染井吉野、今年も忘れず咲く揺れる枝から薄い花びらは散り風が薄紅色の吹…

「 違う道があるのなら 」

いつ、どこで、この道に迷い込んだ?誰に押され、誰に騙され、この道に立っている?分岐点はまだ見えないこの道を歩いていくしかないような一本道 いつから、どこから、この道を歩いている?自分で選んで、自分で決めて、この道に立っているんだよね分岐点は…

「 蒼白い月灯り 」

ガラス窓も白いレースのカーテンもためらいもなく通り過ぎわたしが横たわる部屋へ忍び込む気づいているその蒼白さは、哀しみわたしを覆いつくしたがっていることをわたしに寄り添いたいのだと 知っているその蒼白さは、切ない涙を零したあとの瞳の色だとわた…

「 眠れない夜に 」

こんな夜に限って風も吹かない時計の針が刻む音だけが響く暗闇が嫌いだから今夜は電気を点けたまま眠くなるまで白い壁を眺めていよう 何も変わらない現実に押しつぶされてしまう前に君の胸に逃げてしまいたいのだけど君が待つことなどないと知っているから今…

「 一粒の雨が無数に降る 」

一粒、一粒の雨が何万粒となって降り続ける夜に雨の降る音を聴いては雨の流れいく音も聴いていた一粒が川になっていくそんな夜に流されながら横たわるわたしに時だけが耳元で囁くほら、もう海へ近づいてきた、と。 海のなかの一粒となった雨明日は、空へと向…

「 昔の歌に涙を滲ませて 」

誰かが歌う昔の歌に君とわたしが過ごした季節が重なり悲しい歌を更に哀しくする 瞼を閉じて聞き入る昔の歌の聴き慣れたフレーズが過去と交差して口ずさみながら途中で止めた 昔の歌に涙を一つ、滲ませても今のわたしは昔のわたしにはなれない見えなくなって…

「 背中に文字を 」

君が見せた斜めになった背中に「さようなら」と呟くこともできず元気でいてね、と願っていたあれから、随分と長い時間、独りの夜を過ごしてきた ねえ、君今は誰とお酒を飲んでいる?誰と話しをしている?誰と目を合わせている? かけ離れた、交わることもな…

「 そして、いつかは 」

この胸のなかに刷り込んだ、君のちょっと疲れた横顔と力仕事をしたことがないような手と煙草の匂いが染み込んだ髪の毛を時々は引きずり出し懐かしがっている 君の背中を見送ってから随分と時がたったのにまだ背中の皺が思い出される涙だって滲んでくる いつ…

「 夕暮時に君を想う 」

黄昏・・・・時々淡いピンク色の夕暮と出会う疲れた目に優しい景色が静かに暮れていく今日が終わる、この瞬間君を想いながら明日の君を想う 君の眺める夕暮は山から続く青のグラデーション千切れた雲が風に乗り流れていくわたしの元には辿りつかないけれど …

「 窓越しの風景 」

窓越しに眺めていた景色のなかに雲の隙間をぬけてやがて広がりをみせる日差し そうか、もう春はそこまで来ている風の流れも穏やかで窓越しの日差しさえも柔らかい表情をみせてくれる 外に出てみようか誘うように蝶が舞う君のもとへ連れていってくれそうだ カ…

「 君に何を語ろうか 」

聞こえる?この鼓動から生まれる言葉を空気を振動させて君の耳に届くまでに小さくなっていく届かない?この震える唇から吐き出される言葉が手が痺れるように君の背中に触れていたのに力が抜けていく 語ってはいたのだけど君には届かない二人の間を流れる風が…

「 傷がつれてくるもの 」

胸にある小さな傷はわたしの手がつけたもの思わず爪で引っ掻いていたその痛みは赤い一筋の血液だった流れ落ちることはなく皮膚に張り付いたままで消え去ることを拒んでいた わかっているこの痛みがやがて薄れることをこの傷跡も薄れて消えてしまうことも だ…

「 帰らないもの 」

いくら思い出してもあのときの風景はもう戻らない二度と帰らない君のように 帰ってくるのは、わたしの零す涙ばかりで繰り返し、さよならの意味を聞いてくる 帰らないもの君と過ごした場所と時であの夜の温もりで さようなら、の後に、またね、という言葉は続…

「 昼下がりの小雪 」

ちらちらと小雪が降る いつもの景色に哀しみを乗せて ほの暗い昼下がりに 白い染みを残して消えていく君の描く過ぎ去った景色のなかに あのときの吹雪は 残っているのだろうかわたしの手に落ちる 小雪のなかに あのときの雪化粧した街が見えている風が小雪を…

「 偽物のチョコレート 」

零れ落ちたのはビターチョコレートの欠片で溶けてしまったのは、わたしの我侭のせい 手渡すことのできない二人の距離を埋めるためにせめてチョコレートの写真を君に送りたい少しだけラブを込めて送信するね たぶん、戻ってくるのだろうね偽物チョコレートも…

「 目をつぶって 」

目をつぶって去年の今を思い浮かべて涙のかわりにため息をついて夜更けの時計の音を聞きながら今年なんだとカレンダーを見ないで瞼の裏に触れる君の姿にやはり、涙を一粒こぼして目は開けないまま去年の今のわたしと君の部屋を懐かしく思い出すこのまま、眠…

「 やはり、君が恋しい 」

霙に濡れながら背を向けて桜の枝にとまる烏遠くの空も見ないで、地面を見つめている わたしがそこにいた背中を向けて君の姿を見ようともしなかったただ自分の足元ばかりを見つめ冷たい空気に頭を垂れているだけだった それでも、季節はめぐり、日めくりをめ…

「 おやすみ、おやすみ。 」

おやすみ、おやすみ。 風も止んだ。 猫も眠ってしまった。 体が傾くまま 瞼が重くなっていくまま 意識が薄れていくまま おやすみ、おやすみ。 街灯が点いているから。 テレビは消えたから。 腕が下がるまま 足が伸びるまま 体が沈むまま おやすみ、おやすみ…

「 愛されたいの向こう側 」

君の愛を独り占めしたくて君の時間をたくさん欲しくて君の優しい瞳をみたくて君の暖かな言葉が聞きたくて 心から溢れるほどに愛してきた一日中君を想い続けた君への言葉を探し続けたささやかなことにも喜んできた 満たされるためにたくさん君に求めてきた愛…

「 冬は去っていく 」

雪景色の中で眩しい陽を浴びて誰も残していない足跡を君と並んで残してみたかった雪は降らない冷たい雨が毎日降っている やがて梅の花が咲き水仙や菜の花が強烈な匂いを放つ眩暈を起こす季節の中で独りで空を見上げ去って行こうとする冬を見送るのだろう 今…

「 君と一緒に 」

君と一緒に見ていたのは霞む夕暮れの空ではなくて消えていく灰色のタバコの煙 涙が流れてきたのは漆黒の夜が永遠にあけないことがなく君と迎える朝が悲しくて 言葉は形もなく残らない耳の奥まで届くことはできても胸の中では消えてしまう 君と一緒に見ていた…

「 探せない言葉 」

君のことを想い出しながら多分、わたしを待っている君に送る言葉を夜中に探してみる 雪原を歩き凍った川を渡り言葉を求める君に何を伝えたらいいのだろう冷え込む夜中に猫も眠る静かなときにかじかむ指で綴る言葉を探せないままでいる 君の夢のなかでは笑顔…

「 めくれていくカレンダー 」

目の前のカレンダーが風に揺れる頃、君の背中を見送った振り返らない君の背中に「さようなら」と呟きただ、ただ、瞼を腫らして泣いた 君の横顔をカレンダーの中に見つけあの頃の二人の笑い声が漏れてきそうだったほんの1年前のことなのに遠くの声のようで風…

「 君に逢いにいく 」

雨の音が好きでいつも窓に寄り添って聞いている優しい雨冷たい雨哀しい雨嬉しい雨雨の雫にわたしの心が映る君を想い雫が流れて、土に戻り川に戻り空に戻り私に戻る君のところは雪だろうか雪が雨に変わるころに橋を越えて川を越えて海を越えて空を越えて君に…

「 君の後ろからついていく 」

溶け出す雪に 一月の光は優しい 君の背中に反射しては 空の色を写している 君の横に並ぶよりも 君の後ろ姿を眺めながら歩く 斜めになった肩の線と 背中の広さを確認しながら 君に話かける 振り返る君の瞳に わたしがいた そんな瞬間が愛しくて 君の後ろから…

「 言葉のない月 」

あの丸い月を眺めながら涙を流したのは君へ伝えたかった言葉を捜せなかったから 何処まで行ける二人なのだろう僅かなときを二人で抱き合い消費していくだけのときを月の流す影にそっと流していった あの高い月が涙を隠してくれたから君へ伝えたかった言葉を…