2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「 花冷えの夜に君を想う 」

穏やかな日差しのなかで透けそうな花びらをたおやかに開いている桜 染井吉野の儚い色合いにこの春の寂しさを募らせる花冷えの夜にますます募る想いは音をたてて吹く風に凍ってしまう 染井吉野、今年も忘れず咲く揺れる枝から薄い花びらは散り風が薄紅色の吹…

「 違う道があるのなら 」

いつ、どこで、この道に迷い込んだ?誰に押され、誰に騙され、この道に立っている?分岐点はまだ見えないこの道を歩いていくしかないような一本道 いつから、どこから、この道を歩いている?自分で選んで、自分で決めて、この道に立っているんだよね分岐点は…

「 蒼白い月灯り 」

ガラス窓も白いレースのカーテンもためらいもなく通り過ぎわたしが横たわる部屋へ忍び込む気づいているその蒼白さは、哀しみわたしを覆いつくしたがっていることをわたしに寄り添いたいのだと 知っているその蒼白さは、切ない涙を零したあとの瞳の色だとわた…

「 眠れない夜に 」

こんな夜に限って風も吹かない時計の針が刻む音だけが響く暗闇が嫌いだから今夜は電気を点けたまま眠くなるまで白い壁を眺めていよう 何も変わらない現実に押しつぶされてしまう前に君の胸に逃げてしまいたいのだけど君が待つことなどないと知っているから今…

「 一粒の雨が無数に降る 」

一粒、一粒の雨が何万粒となって降り続ける夜に雨の降る音を聴いては雨の流れいく音も聴いていた一粒が川になっていくそんな夜に流されながら横たわるわたしに時だけが耳元で囁くほら、もう海へ近づいてきた、と。 海のなかの一粒となった雨明日は、空へと向…

「 昔の歌に涙を滲ませて 」

誰かが歌う昔の歌に君とわたしが過ごした季節が重なり悲しい歌を更に哀しくする 瞼を閉じて聞き入る昔の歌の聴き慣れたフレーズが過去と交差して口ずさみながら途中で止めた 昔の歌に涙を一つ、滲ませても今のわたしは昔のわたしにはなれない見えなくなって…

「 背中に文字を 」

君が見せた斜めになった背中に「さようなら」と呟くこともできず元気でいてね、と願っていたあれから、随分と長い時間、独りの夜を過ごしてきた ねえ、君今は誰とお酒を飲んでいる?誰と話しをしている?誰と目を合わせている? かけ離れた、交わることもな…

「 そして、いつかは 」

この胸のなかに刷り込んだ、君のちょっと疲れた横顔と力仕事をしたことがないような手と煙草の匂いが染み込んだ髪の毛を時々は引きずり出し懐かしがっている 君の背中を見送ってから随分と時がたったのにまだ背中の皺が思い出される涙だって滲んでくる いつ…

「 夕暮時に君を想う 」

黄昏・・・・時々淡いピンク色の夕暮と出会う疲れた目に優しい景色が静かに暮れていく今日が終わる、この瞬間君を想いながら明日の君を想う 君の眺める夕暮は山から続く青のグラデーション千切れた雲が風に乗り流れていくわたしの元には辿りつかないけれど …

「 窓越しの風景 」

窓越しに眺めていた景色のなかに雲の隙間をぬけてやがて広がりをみせる日差し そうか、もう春はそこまで来ている風の流れも穏やかで窓越しの日差しさえも柔らかい表情をみせてくれる 外に出てみようか誘うように蝶が舞う君のもとへ連れていってくれそうだ カ…