2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「 君に何を語ろうか 」

聞こえる?この鼓動から生まれる言葉を空気を振動させて君の耳に届くまでに小さくなっていく届かない?この震える唇から吐き出される言葉が手が痺れるように君の背中に触れていたのに力が抜けていく 語ってはいたのだけど君には届かない二人の間を流れる風が…

「 傷がつれてくるもの 」

胸にある小さな傷はわたしの手がつけたもの思わず爪で引っ掻いていたその痛みは赤い一筋の血液だった流れ落ちることはなく皮膚に張り付いたままで消え去ることを拒んでいた わかっているこの痛みがやがて薄れることをこの傷跡も薄れて消えてしまうことも だ…

「 帰らないもの 」

いくら思い出してもあのときの風景はもう戻らない二度と帰らない君のように 帰ってくるのは、わたしの零す涙ばかりで繰り返し、さよならの意味を聞いてくる 帰らないもの君と過ごした場所と時であの夜の温もりで さようなら、の後に、またね、という言葉は続…

「 昼下がりの小雪 」

ちらちらと小雪が降る いつもの景色に哀しみを乗せて ほの暗い昼下がりに 白い染みを残して消えていく君の描く過ぎ去った景色のなかに あのときの吹雪は 残っているのだろうかわたしの手に落ちる 小雪のなかに あのときの雪化粧した街が見えている風が小雪を…

「 偽物のチョコレート 」

零れ落ちたのはビターチョコレートの欠片で溶けてしまったのは、わたしの我侭のせい 手渡すことのできない二人の距離を埋めるためにせめてチョコレートの写真を君に送りたい少しだけラブを込めて送信するね たぶん、戻ってくるのだろうね偽物チョコレートも…

「 目をつぶって 」

目をつぶって去年の今を思い浮かべて涙のかわりにため息をついて夜更けの時計の音を聞きながら今年なんだとカレンダーを見ないで瞼の裏に触れる君の姿にやはり、涙を一粒こぼして目は開けないまま去年の今のわたしと君の部屋を懐かしく思い出すこのまま、眠…

「 やはり、君が恋しい 」

霙に濡れながら背を向けて桜の枝にとまる烏遠くの空も見ないで、地面を見つめている わたしがそこにいた背中を向けて君の姿を見ようともしなかったただ自分の足元ばかりを見つめ冷たい空気に頭を垂れているだけだった それでも、季節はめぐり、日めくりをめ…

「 おやすみ、おやすみ。 」

おやすみ、おやすみ。 風も止んだ。 猫も眠ってしまった。 体が傾くまま 瞼が重くなっていくまま 意識が薄れていくまま おやすみ、おやすみ。 街灯が点いているから。 テレビは消えたから。 腕が下がるまま 足が伸びるまま 体が沈むまま おやすみ、おやすみ…

「 愛されたいの向こう側 」

君の愛を独り占めしたくて君の時間をたくさん欲しくて君の優しい瞳をみたくて君の暖かな言葉が聞きたくて 心から溢れるほどに愛してきた一日中君を想い続けた君への言葉を探し続けたささやかなことにも喜んできた 満たされるためにたくさん君に求めてきた愛…

「 冬は去っていく 」

雪景色の中で眩しい陽を浴びて誰も残していない足跡を君と並んで残してみたかった雪は降らない冷たい雨が毎日降っている やがて梅の花が咲き水仙や菜の花が強烈な匂いを放つ眩暈を起こす季節の中で独りで空を見上げ去って行こうとする冬を見送るのだろう 今…