2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「 新緑萌えるころ 」

注ぐ光りが眩しくて君のシルエットも光りに溶けていく確かに右肩下がりだった少し襟足の髪が伸びていた そのまま君の姿は消えてしまった新緑の頃光りは眩しく足元の影だけはくっきりと浮かぶ 生命の強さが緑の濃さに現れている風薫る五月に一つ歳をとりなが…

「 昔の休日は 」

休日が嫌いなときがあった君に逢えない、ただそれだけの理由で君がいない寂しさに長い夜は毒となってわたしを苦しめてきた眠れないまま、もがいてきた 今年も休日がたくさんあるもう体に廻るような毒のある夜にはならない君に逢えない寂しさは、風とともに彼…

「 そして眠る 」

風が吹かないままこの場所に留まってしまいやがて朽ちていけたならいいだけど君との思い出だけはどうしても朽ち果ててくれない 君の斜めになった背中と煙草をふかす横顔が似合っていた猫背な座り方に苦い珈琲が似合っていた 風の変わりに時が渦巻きこの場所…

「 独り、のわたしたち 」

独り、長い夜を過ごす君何を見て、何を考え、誰を想うのだろう 独り、わたしも長い夜を過ごし未来を見ようとし、君のことを考え、君を想っている 独り、誰もいないわたしたち手を繋ぎ、肩を抱き合い、頬を寄せ合う、そんなときが来るのだろうか 独り、長い夜…

「 眠ってはいけない 」

疲れた体は瞼を閉じようとするだけど、眠ってはいけない長い夜だから、雨の降る夜だから、月の見えない夜だから、君を想う夜だから、瞼を閉じても眠ってはいけない 君に告げたい言葉を探せないだから、眠ってはいけない君を愛する夜だから、君を思い出す夜だ…

「 大粒の雨が降る 」

夕暮になって地面にぶるかるように大粒の雨が降る雨と雨の間隔は広い 君の空からも大粒の雨は降っただろうか首をすくめ小走りする、君の丸まった背中が妙に愛おしくてたまらない君の背中で深く大きな染みとなっていく大粒の雨が羨ましくて 温みだした空気の…

「 どうして、 」

どうして、どうして、何をわたしは間違えた?だんだんと先細る道を歩いている体はふらふらしている後ろを振り返ってもぽっかりと大きな穴があるだけで歩いてきた道が後ろから崩れてきているどうして、どうして、こんな道になってしまった?頼れる人もなく独…

「 差し伸べても遠く 」

君の流す涙を拭いたくともわたしの差し伸べる手は届かない君の震える肩を抱きたくてもわたしの差し伸べる手は届かない 哀しい瞳で見つめる現実に桜吹雪は寂しさを誘う君の瞳に映る景色のなかで散った花びらは地面でつもる 君の頬を温めたくてもわたしの差し…

「 風もない夜に 」

どうしてこうも静かなのだろう草の擦れ合う音さえもしないような夜テレビの音は垂れ流しても何も聴こえはしない 風がない風のない夜にべったりとした暗闇がある目の前のものさえ見えなくなるような 風がない風のない夜に進めない帆船のように此処に留まるし…

「 花曇 」

曇り空に、薄紅の花が似合う悪戯な風に揺られやがて、花吹雪最後の煌きに似た花吹雪 虚ろな曇り空に映った想いは雲と一緒に流れ西の彼方へと向かう見送るのは、花吹雪 薄紅の花も霞む、花曇寒さも温かさも感じられず穏やかに風が吹くだけで古くなりゆく思い…

「 頁はめくられて 」

咲き乱れる花、舞い踊る風、広がる陽、 新しい頁はめくられてゆっくりと開いた景色のなかに君の姿はなく、影さえも見つけられない土埃となって消えた足跡の形さえも忘れてしまいそうな今日の頁を毎日めくっていく 散りゆく花、去りゆく風、消えゆく陽、 新し…