落書きとポエム

「 新緑萌えるころ 」

注ぐ光りが眩しくて君のシルエットも光りに溶けていく確かに右肩下がりだった少し襟足の髪が伸びていた そのまま君の姿は消えてしまった新緑の頃光りは眩しく足元の影だけはくっきりと浮かぶ 生命の強さが緑の濃さに現れている風薫る五月に一つ歳をとりなが…

「 帰らないもの 」

いくら思い出してもあのときの風景はもう戻らない二度と帰らない君のように 帰ってくるのは、わたしの零す涙ばかりで繰り返し、さよならの意味を聞いてくる 帰らないもの君と過ごした場所と時であの夜の温もりで さようなら、の後に、またね、という言葉は続…

「 偽物のチョコレート 」

零れ落ちたのはビターチョコレートの欠片で溶けてしまったのは、わたしの我侭のせい 手渡すことのできない二人の距離を埋めるためにせめてチョコレートの写真を君に送りたい少しだけラブを込めて送信するね たぶん、戻ってくるのだろうね偽物チョコレートも…

「 目をつぶって 」

目をつぶって去年の今を思い浮かべて涙のかわりにため息をついて夜更けの時計の音を聞きながら今年なんだとカレンダーを見ないで瞼の裏に触れる君の姿にやはり、涙を一粒こぼして目は開けないまま去年の今のわたしと君の部屋を懐かしく思い出すこのまま、眠…