細い三日月の夜に


風はなく
穏やかな時間の流れのなか
逆らわないようにして
ゆっくりと散歩する
真夏になる前に
枯れた葉
静かにくずれていく


細い三日月の夜に
桜の大きな枝のドームの下で
影を消して
ゆっくりと散歩する
梅雨の前の
軽やかな空気が
頬をなでていく


茫洋と浮かぶ三日月
幸せの黄色に耀いている
今、この時間
静かに息を生きている