「 やはり、君が恋しい 」


霙に濡れながら

背を向けて桜の枝にとまる烏

遠くの空も見ないで、

地面を見つめている


わたしがそこにいた

背中を向けて

君の姿を見ようともしなかった

ただ自分の足元ばかりを見つめ

冷たい空気に頭を垂れているだけだった


それでも、

季節はめぐり、日めくりをめくるように

遠くの春は近づいてくる

ぬけるような空のした

烏の羽が黒光りするように

わたしも空を見上げて

君の顔をみることができるようになる


桜の花吹雪のなか

君の背中に抱きついて


やはり、君が恋しい




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