「 風もない夜に 」
どうしてこうも静かなのだろう
草の擦れ合う音さえもしないような夜
テレビの音は垂れ流しても
何も聴こえはしない
風がない
風のない夜に
べったりとした暗闇がある
目の前のものさえ見えなくなるような
風がない
風のない夜に
進めない帆船のように
此処に留まるしかないわたしが重い
静かすぎる、と呟きながら
猫を抱きかかえ夜空を眺めてみる
星は無数に見える
だのにその光りはあまりにも儚すぎる
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