「 秋の空の瞬きは美しく 」


ふと見上げた夜空は秋になっていた
星たちが地上に近づいてきている
手元に落ちておいで
瞬く星たちを眺めてはそう思った


振り返れば
灯りも届かないコンクリートの道と
道端にある草むらからの
虫たちの悲鳴


星たちの瞬きが美しい
手の届かない星たちの灯り
見ることができたんだ
手には何も握っていないけれど


真正面には
歪んでいる真っ暗な道がある
道端にある草むらには
秋桜が咲いていた


星たちの瞬きが美しい
雲に遮られることもなく
風に流されることもなく
ひたすら瞬き美しく


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「 プロローグは予測なく 」


寂れた喫茶店
疲れたママと話していた
席を一つ空けて座った君と視線を交わす
プロローグは突然で
まだ何も気づいてなかった


交わした視線が
時を刻みながら
fall in love
恋は予測なく始まる


はにかんだ笑顔を愛し
豪快な笑いを愛し
真剣な眼差しを愛した


褐色の喫茶店
不味い珈琲を飲みながら
席を一つ空けたまま君と視線を交わす
プロローグは始まり
限りある日々が愛しかった


交わした視線が
時を刻みながら
fall in love
恋は予測なく始まる


仕事とゴルフの話しを愛し
辛くて歪めた顔を愛し
遠くを見る瞳を愛した


交わした視線が
時を刻みながら
fall in love
恋は予測なく始まって


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「 夏の名残りと虫の鳴き声 」


夏の名残りを匂わせて
昼間の陽射しは眩しかった
外へ出てはいけない
家の中の壁をみて
指折り、時を数えたらいい


めくっては破り捨てたカレンダーが
9月だと知らせてくれた
12月31日までの数字が
整然と並びながら
変えようのないものがあると
見せてくれる


涼しい家のなかで
時計の音を聞いて
時計の針を見て
夕方までの距離をはかり
外へ出る準備をしてみるのもいい


夏の名残りが消えれば
秋の訪れを眺め
そろそろ靴を履いて
散歩しながら新しい横道を
探してみるのもいいのかもしれない


虫が鳴いている
こちらへおいでと手招きしている


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「 俯きながら 」


喧嘩したのかもしれない
月明りも心もとなく
街灯もない道を
早足で歩いた


歩くほどに涙が零れたのか
ため息が零れたのか
知っているのは
その時に吹いた風だけだろう


歩く自分の影を
俯きながら見ていた
そして
君のことを思いながら歯軋りしていた


独りよがりな
「愛している」の向こう側に
君の姿は無くなり
新月の九月の夜がそこにあった



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「 時計の針の進む音が眠りに誘う 」


時計の針が進む音は
眠りなさいと誘うのだけど
テレビからの垂れ流しの雑音は
眠ってはいけないと囁く


明日に日付が変わり
今日が始まってしまっても
夜明けが来るのが怖い


眠らなければ
夜明けがこないような、
そんな期待を抱きながら
時計の針が進む音を聞いている


夜明けが怖い
今日始まることが怖い
眠り続けていたい


進んでいく時計の針を
止める手が届かないまま
進んでいく時計の針の音を
じっと聞いていた


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「 線香花火 」


飛び出すように
火薬を散らし
鮮やかな閃光を残して
消えていく


短い瞬間が
忘れがたい煌き
苦い薬を飲み干した、
あの後味の悪さを残して


消えていく
だけど瞼に焼きつき
このまま消えはしないと
解っている苦しさは・・・・


火傷した皮膚の
突き刺すような痛み
冷やすほどに
消えていけばいいのだけど


短い瞬間が
忘れがたい煌き
光りの塊となって
足元に落ちていった


消えていく
だけど瞼に焼きついて
このまま消えはしないと
解っている辛さは・・・・


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「 咆える風 」


海に沈みそうな小さな孤島をめざし
渦巻き、咆えながら
風は、走る、走る、走る


愛を知らない
傷つけることだけで
君は、走る、走る、走る


咆える風は
君の無知な心にも響くだろう


空一杯に広がった雲を蹴り上げて
急降下しながら、咆え
風は、走る、走る、走る


愛を欲しがり
傷つけることだけで
私は、走る、走る、走る


咆える風が
流れ行く時を逆なでするだろう


咆える風は
私の無知な心を引き裂くだろう



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