「 さよならは言えず 」


さようならを言わず

重たい扉の前で

もう一度抱き締めて

言葉にならない視線を

君に送りながら

狭い空間に別れを告げる


また会える

その約束を胸に大事にしまい

帰る道は遠く独りだけれど

体に残る温もりは消えることはない


愛している

小さな窓から見る夕暮れが

茜色に変わっていくのだろうけど

君と再会したとき

また眺めるのかもしれない

さよならは言えずに